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旧齋藤家別邸

旧齋藤家別邸

新潟市中央区
西大畑町576番地
行形亭(いきなりや)隣

☎025-210-8350

※専用駐車場はございません。
できるだけ公共交通機関をご利用ください。
通常、庭園や建築物を広く公開しておりますが、天候や管理上の都合により公開や入場を一部制限する場合があります。
誠に申し訳ございませんがご協力をお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

 

燕喜館=かつての齋藤家本邸の一部を白山公園内に移築再建。

 

旧小澤家住宅=みなとまち新潟を支えた商家の佇まい。

 

日本料理行形亭・当館・北方文化博物館新潟分館のお食事・見学パック

 

古くてアートな西大畑・旭町界隈のご案内

 

新潟市公式観光情報サイト

 

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最新情報

「ねこあつめ」の日本庭園を真面目に鑑賞する

話題のゲームにあらわれる「日本庭園」について解説します。

巷で大好評のゲームアプリ「ねこあつめ」。旧齋藤家別邸の担当ももちろん楽しんでいます。スタッフやお客様にもフリークが多いようです。

>>>「ねこあつめ」(c)Hit-Point 公式サイト

iOS版も待望のアップデートがあり、模様替えができるようになりました。しかも嬉しいことに「池と床の間」なる和風の趣き。新潟に馴染み深い「猫ちぐら」までアイテムに加わりました。

日本庭園に携わる者として、この「池と床の間」を旧齋藤家別邸と比較しながら真面目に解説してみたいと思います。

 

きっとこのお屋敷のご当主は猫好きなのでしょう。いつも猫に占拠されていますが、本来は人が訪れる場所です。まず、客人がどのように入ってくるのかを考えてみましょう。

この配置から推測しますと、客人は左上の垣根の向こうから通され、垣根が途切れた場所で橋を渡ります。日本庭園では橋は重要な構成要素です。園路の演出に変化を与えることができますし、この橋の上はアイポイントが少し高くなりますから庭園を眺める地点としても大事です。特にこの庭園では、客人は垣根で遮られた視界が、橋の上で一気に開けますからその印象深さは一層のことでしょう。「おさむらいさん」の立ち姿も似合いそうですね。風情があります。

また、橋は結界の役割も持ちます。橋を渡ることで俗界から聖域へと領域が変わることを意味付けます。橋の奥に見えるひょうたん型の島も趣きがあっていいですね。

頭上の松にも注目です。松の枝をこんもりと見せる剪定は、雪国新潟ではあまり見かけません。新潟の職人は雪が溜まらないように少し隙間をとるような剪定をしますので、このお庭はきっと雪の無い地方なのでしょう。

 


旧齋藤家別邸でも、橋は園路のアクセントになっています。画面左下で橋を渡り、その後園路は上り坂で庭園の奥へ上へと続きます。欄干柱を一つだけ置くことで、歩く人に境界を意識させるような作りです。

 

橋を渡ってあらわれた客人は建物に通され、座敷に座ることで凝った床の間に圧倒されることでしょう。客人を「間違いのないようもてなす」という当主の心意気を感じ、「格式ある場所に通された」という気持ちになることでしょう。床柱はあえて樹木の肌を見せる丸太を使い印象づけています。このデコボコ感は柱にすり寄る猫たちの心地よさを重視したのかもしれません。しっかりとした床框、落とし掛が格式を感じさせます。

床の間から縁側までが畳一枚分しかないというごくごく狭い作りが、この座敷と庭園との一体感を生み出しています。なお、この座敷の最大のポイントは「角の柱が一本無い」ことで、非常に開放的な造りになるように見せていることです。「庭屋一如」(ていおくいちにょ)の当館も庭園の眺望を重視し極力柱が少ない開放的な構造ですが、それどころではない一体感です。構造的に大丈夫なのか、というツッコミは置いておき、施工した棟梁の技と大胆さに脱帽です。

 

縁側から一段低くなった幅広の縁台は色と風合いから推測するとやはり総漆塗りでしょうか。贅沢ですね。少し低くなっていますので、座敷に座った目線からは縁台の全部は見通せないと思われますが、灯籠を配置することで客人の視線をそちら側に誘い、意識を向けるようにさせたと考えられます。

 


旧齋藤家別邸も、柱を極力減らし庭園と建物の一体感を重視した造りです。客人の視線を誘うように、右に左にと大きな石や灯籠を配置し、庭園全体を見せる工夫がされています。

 

 

池や流れを渡るには、橋だけでなく飛び石を配置することも多くあります。グッズを置くことができるようになっている平らな石はまさしく、渡るための飛び石のひとつでしょう。もし景石としてなら、広く平らではなく、もう少しこじんまりとしていて水の上に造形を見せる石のほうがおさまりが良さそうです。この飛び石の向こうにも園路が続いているのでしょう。

こういったことからも、この庭園は皆さんが立っている側に広がっていることが推測されます。皆さんは庭園の中心から建物を見ているという構図です。
そのように考えますと、手前の大きな切り株が意味を持つ物だと言うことが感じられますね。ここに大木がありますと、座敷から庭園への眺めを大きく遮ることになります。それを切り倒し、あえて切り株として残すことで年輪を見せ、時の流れと自然の中にある山居の佇まいを印象づけようとしています。

このお屋敷の当主は、悠久自然の中に身を置く心地よさ、穏やかな気持ちを客人に感じさせようとしているのです。
そのように考えると、こころなしか猫たちの表情も他のロケーションよりも穏やかな表情に見えるような気がします。

旧齋藤家別邸では、初めて訪問した庭園やお屋敷でもグッと楽しく鑑賞できるツボをお話しするセミナーを開催しています。
>>>セミナー「日本庭園・数寄屋風住宅のみかた」